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2016.06.27(月)

#前川 康彦

任意後見人について

判断能力があるうちに信頼のおける支援者との間で契約を結び、将来認知症等になった場合には、支援者に財産管理や契約の代理等を行ってもらう制度です。まだまだ知名度は低く、昨年はわずか2000名しか登録されていません。しかし、できるだけ多くの方に絶対に知っていてもらいたい制度です。

 

事例として

妻と2人暮らしのAさん(仮名)。Aさんには他人に貸している駐車場やアパートがあり、ずっと自分で管理をしてきたのですが、物忘れがひどくなってきたことから、こうした事務処理がいつできなくなるかわからないという、将来に対する不安を感じるようになりました。

Aさんは最寄りの公証役場へ何度か相談に行き、その結果、親しくしているBさん(仮名)と任意後見契約を結びました。

数年後、Aさんは脳梗塞で倒れて病院に運ばれ、一命はとりとめたものの、人の話や書類の文章などが理解できない、たった今言ったことを忘れてしまう等の後遺症が残りました。

Bさんは、Aさん夫妻とよく話し合い、Aさんの任意後見監督人選任の申立てをし、第三者が任意後見監督人になりました。

Bさんは、任意後見監督人の監督のもと、萩本さんとの契約に基づき、

  1. Aさんが賃料等を管理していた通帳や印鑑等を預かって、必要な支払いをし、賃料収入や建物、設備等の管理をする
  2. Aさんの確定申告や税金の納付をする                     ことにしました。無事退院して自宅に戻ったAさんは、できることなら、ずっと妻と共に自宅で過ごしたいと思っています。

このようにいまは大丈夫だと思っていらっしゃる方も、将来大丈夫であるとは限りません。先のために“保険をかける”つもりで、任意後見契約などを考えてみてはよいのではないでしょうか?